たった1週間のアルバイト

その既婚者の人との出会いは,たった1週間のアルバイトでした。帰省するお金を自分でかせごうと思い立ち,どこかで短い期間だけのアルバイトができないかと探していました。元々,本が大好きで,今のようなチェーン店ではなく,当時は身近な街角に小さな本屋さんが多数存在しておりました。もしかしたら雇ってくれるかもしれないと決意し,ある小さな本屋さんに掛け合いました。

もちろん,アルバイトを募集していた訳でも何でもありません。そんな小さな本屋さんを訪れると,たまたま社長さんがいらっしゃり,たった1週間なんですが…と事情を話すと,身分を確かめられただけで,即OKをもらうことができました。

今考えると,これこそが運命の出会いにつながる奇跡さったと改めて思い起こされます。そして,始まったアルバイト生活。アルバイトは私だけではありません。もう一人,女性がおりました。1週間,その方とカブリナながら,そしてやることを教わりながら働きました。特に,何という訳でも無く,私自身帰省するお金が欲しかっただけでしたので,その時は何の感情も無くただただアルバイトに通う1週間でした。

そして,その1週間は終わり,即アルバイト料を社長さんからいただき,その小さな本屋さんを去りました。アルバイト料の支払いも,最終日にすぐにいただけた記憶があります。本当に素晴らしい社長さんでした。そうして,いよいよ帰省。長期の休みも重なり一月以上,その本屋さんには足を運びませんでした。しばらくぶりにその小さな本屋さんを訪れると,いつもと変わらずその女性が働いていました。

そこからです。その日から,その女性を人目みたくて,小さな本屋さんに通いました。何しろアルバイト経験者ですから,毎日行っても「お手伝いしま~す」という感じで,自然体で通うことができたのです。もはや,ネタバレだとは思いますが,そこからお付き合いが始まりました。しかし,本当に人と人との運命的な出会いというものがリアルにあるのだと身をもって体験しました。